 |
 |
 |
| 1-1 着手前の事柄(T) |
 |
1 |
設計以前にあるもの |
 |
 |
静かな山中の一室も、時折下の道路を車が通ると「やかましい」と感じる時もある。
渓流の流れは一晩中聞こえていても「静かないいところだ」と思ったりする。
人間の自然の感覚はそのように出来ているものなのか。
また、竣工したばかりの建物に入居してみて、使い勝手とか色々な事柄が気になった場合でも、
「たいてい他所もそうなっている」ということが分かると、それは大方の納得を得たことになったり、
大方の設計上の要点をクリアしていることになったりする。 |
 |
2 |
地盤高の基準を統一する |
 |
 |
新たに造る造成地に大規模な建物などを建設する場合は、土木工事の設計と建築工事の設計がなされる。
この際双方の設計のなかで使用する地盤高の基準の表現は「TP」「標高」などに
統一し、双方の間で地盤高などについて誤解の生じないようにしておく。
一つの工事のなかで[GL」や[TP」が混在すると、地盤高の読み替え作業が頻繁となり竣工時点
での誤差にまでつながる惧れがある。 |
 |
3 |
更新計画は新設設計の時点から考える |
 |
 |
建物の耐用年数に到るまでの間に何度も迎える大型修繕や機器の更新について、その時期
や必要工期、概算金額などをまとめる業務を、建物の新築設計の時点で設計成果品の中に加わ
えて委託する。言うなれば新築完成と同時に耐用年数に到るまでの姿を掌握することになる。
このことは非常に不透明な部分を包含することになるが、建物の所有者にとっては何時かは必ず必要となる事項であり作っておけば節目節目で役に立つ。 |
 |
4 |
この数字には「わけ」がある |
 |
 |
建築物については敷地面積や建築物の高さ、天井高さ、階数等々によって各種各法の適用が異なることが多く、各法では所定の数値を「以上、未満」「越えるもの、以下」などの表現で
規制の中身を定めている。例えばある施設で燃料として油を保有する場合でも、その数量が指定数量の「以上」と「未満」では適用する「法」が異なり竣工後の維持管理にも差異が生じる
ことがよくある。とくに設計時の算出数量が指定値の境界付近の場合は十分な吟味が必要となる。
数値の決定に当たっては各種各法の規制の中身を認識したうえで、設計上の必要性や考え方を整理することが大切である。 |
 |
5 |
いつかは部品もメーカーから無くなる |
 |
 |
設計当初は最新式の高性能のものであっても、翌年にはそれも一年前の旧式になる。そして大方の工場製品が遅かれ早かれ建物の解体時期に到る前に「その製品はもう造っていません」と
いう時期が」くる。やがてその製品の部品のストックも底をつき、どうしようもなくなる。
つまり全ての工場製品は現状が使用に耐えうるかそうでないかにかかわらず、何が故障してもそっくり取り替えざるを得ないときがくる。それ自体どうしようもないことであり、設計に際しても単に念頭に入れておくしか仕方のないことなのかと思ってしまう。 |
 |
6 |
一回目のチェック図には新鮮な視点が入っている |
 |
 |
設計から竣工までの間には、設計図、計算書、施工図、承諾図等々、諸々のチェック過程がある。
チェックした元図類を保管しておくとチェックしたときの考え方がチェック図の中に残っており、
「なぜこうしたのか」などが思い出される。考え方を見直すときや何かのときの再確認に大変役立つ。
そのためには最初のチェック図は簡易な製本をして、発注図と一緒に現場の監理事務所に置く。 |
 |
7 |
公共料金の締め切日は月末とは限らない |
 |
 |
工事も竣工に近づき工事中に使用した各種の公共料金も清算する時期がくる。
工期末は月末が普通であるから各種料金の締め切り日も月末ならそれらの清算を済ませて引き渡すことができる。しかし締め切り日が月末でない場合は多少煩雑な清算が必要となる。
例えば電力会社の電気料金の締め切り日が月末の前日だとすると、月末の一日分の料金は
翌月送りとなり、施主が工期内の最後の一日分は支払うことになったりする。
|
 |
8 |
工事進捗を算出しやすい積算方法とする |
 |
 |
設計図が出来上がり、工事費を積算するがその際は、棟別、階別、シャフト別等を意識して積算しておく。大規模工事や長期工事の現場では竣工までに何回か工事の進捗状況を把握することがあるので、そのときに出来高が把握しやすく出来高積算が短時間ですむ。 |
 |
9 |
機器が持っている性能を十分利用する |
 |
 |
機器に求められる機能性能は図面に明記されているが、一般的に機器が持っている機能性能は多岐にわたる。メーカーや型番が特定された時点で、図面に明記されている性能のほかに機器が持っている能力を本工事で活用できないか検討する。 |
 |
10 |
重要マンホールは沈下させない |
 |
 |
電力、電話の引き込み用や汚水その他のマンホールなど、建物直近には重要マンホールが多い。
これらは建物躯体と切り離して施工すると、建物の周囲地盤の圧密沈下と共に沈下するおそれがある。沈下して配管などが損傷すると重大なトラブルに発展する場合もある。
これらの重要マンホールは単独で沈下しないよう建物躯体と一体となるよう設計する。 |
 |
11 |
改修工事の設計は仮設費も積算可能な特記仕様書をつける |
 |
 |
事務所、学校、病院などの改修は、施設を通常通り使用しながらの改修工事となる。この場合は
@施設利用者の安全確保の方法、A構内各域での工事従事者と施設利用者の人や車の交錯に絡む問題の
措置、B改修期間中も全ての防災設備は常に適正であこと、Cガードマン配置の要否、D夜間の措置の
中身等々、施設管理者と十分打ち合わせのうえ図面に明記する。
またこれらの仮設内容は工事の進行に合わせて随時見直しやチェックを入れながらトラブルの防止に努める。その他、改修工事の図面には守らねばならない重要工事のタイムリミットを示した参考工程
表も付ける。 |
 |
12 |
工事期間中の電気料金の負担者を明確にしておく |
 |
 |
工事期間中であっても工事の進捗過程で、現場の電源が仮設電源から本受電の電源に切り替わ
るときが来る。そうなると電気料金の契約種別も変わり、また電力会社との契約者も施主になる。
工事期間中の本受電後の電気料金の負担者、負担割合等について誤解の生じないようにしておく。 |
 |
13 |
海に近くないか確認する |
 |
 |
設備工事に限らず現場が海に近い場合は、各種の機器機材について必要に応じて「防錆仕様」を追加する。
メーカーの各種防錆仕様から選択する方法や現場での防錆施工で対応する方法を検討する。 |
 |
14 |
点検用階段を作ってもらう |
 |
 |
屋上、塔屋など高い場所には受変電設備、水槽、冷温水機など日常的に点検を要する機器を置くことが多い。
それらの設置場所へ行く経路は、垂直タラップにしないで階段にする。点検は日々のことであり、また雨天時や降雪時にメンテ道具を持参することも考えると階段が望ましい。
また階段でなく各所に設ける通常のタラップの場合は、踏み足場は棒状とせず足の置きやすい平型とし、適宜背もたれを設けて途中で休めるよう安全対策も用意する。 |
 |
15 |
ビル管理従事者の部屋 |
 |
 |
ビルの運転管理従事者、環境管理従事者、警備管理従事者等の部屋には洗面、流し、湯沸かしなどの設備を用意し、休憩時はゆったりくつろげる環境とする。
また空調についても、勤務時間が不規則になりがちであることから、他と切り離して考える方が良い場合が多い。トイレも部屋に近いほうが良い。 |
 |
16 |
物には近づくことができる |
 |
 |
建物が使われ始めると、毎日の機器の運転や点検、また月一回や年一回の点検清掃、その他故障のときとか「物」が有ると必ずそこまで近づく必要が出てくる。
その「物」が屋上に有れば「階段を通って行く」、天井裏なら「キャッツウォークで行く」、地下なら「タラップで降りる」などのように到達経路が確保されていることが重要である。
たとえその「物」が「スイッチ一個」であっても「バルブ一個」であっても必要性に応じた経路が考慮されるべきである。
|
 |
17 |
地下階の有効高さの確保に努める |
 |
 |
建物の地下階高は、設計時点の種々の要件から決まる。しかし天井側に取り付く横引き消火管、ダクト、ケーブルラック、照明器具、吹き出し口など機器や配管の配置位置で地下階の有効高さが変わってくる。
管類、ラックなどは梁下に位置することなく梁貫通とする。また梁貫通ができない配管などは、有効高さが少々低くても支障の少ない建物外壁に近い部分などにルートをとることを検討する。
設計上の有効高さの確保は梁下確保からスタートする。特に地下階を車が通過する場合は、入車可能車の高さと通過可能ルートの決定に有効高さは決定的に重要である。 |
 |
18 |
厨房、食堂の衛生設計はその都度指導を受ける |
 |
 |
厨房、食堂の設計に際しては、設計の都度保健所の指導を受ける。何度も設計して経験している場合でも、指導を受けると最新の規制に適合しているか、ささいな見落としをしていないかなど、法的にも衛生上も有用な指摘を事前に受けることができる。
|
 |
19 |
グレードは統一しなくていいのか |
 |
 |
同じような時期に同じ用途の建物を何ケ所も建設する場合は、基本的には資材、機材のグレードを統一しておく。
設計テーマとしてそれぞれの建物に独自性を持たすとか、新しい仕様がマッチする物件など、特に事情がある場合以外は統一しておく方が何かと効率的であるし、利用者にも建設思想が分かりやすい。
このことは既設建物の増改築設計をする場合も同様に考える。 |
 |
20 |
工事境界に不明確な部分を残さない(重要) |
 |
 |
建物を設計から竣工まで建築専門業者だけで完成できると問題はないが、建物の中には照明や空調やエレベータなどいろいろな専門工事が入り組み、設計も建築設計以外の設計が入って一建物の設計が完成する。
このようなときの設計は工事境界部分の設計内容を関連する専門工事の設計者に示し、その内容を関連者相互の図面の中に編成する。
施工区分に付いても工事境界に基づき図面の中に明記する。工事境界を示すことで施工の範囲、責任の範囲を明示する。 |
 |
21 |
設計時点と施工時点にずれが生じる(重要) |
 |
 |
設計時期と施工時期がかなり時間的にずれることがある。
このような場合、以前に出来上がっている図面のままに工事に掛かると「設計の要望内容が変わってきているのに図面は昔のまま」ということになる。
工事に掛かる前に工事費の見直しだけでなく設計内容についても再度の要望確認が必須である。(予算の都合で工事は次年度以降にずれ込み、その間に担当者も異動があった場合など特に気をつける)
|
 |
22 |
機材の取り付け相手は有るのか |
 |
 |
機材の取り付けは、コンクリート造の建物にはインサートやアンカーを利用して機材を直接躯体から支持するケースが多い。しかし吹き抜けの高所に大型照明器具を取り付ける場合や、鉄骨造、
木造の大空間や天井裏に空調機、ダクトその他の機材を取り付ける場合は前記方法はなじみにくい。
そのため個別に支持金物や吊り金物を設計時点で設計図に表現しておく。
なおこれらは一般的な歩掛かりになじまないケースなので納まり図も用意し、支持金物などの製作に必要な経費も計上しておく。 |
 |
23 |
本当に施工出来るのか |
 |
 |
設計図には重要部分の納まり参考図を入れる。竪シャフトの中は本当に施工スペースはあるか、保温巻きもできるか、後日バルブの取り替えもできるか、竪配管は上下の梁に当たってないか、分電盤の扉は物に当たらず開閉できるか。
機械室では、空調機の上部のダクトスペースはあるか、出入り口扉の寸法は後日の機器出し入れに問題はないか。電気室では引き込み管や送り出し管に無理なく入線できる配管の形状やサイズか。
これらのことは躯体寸法にも影響するので設計時点でチェックしておく。 |
 |
24 |
搬入ルート上の植栽や庭石に気をつける |
 |
 |
広い敷地の構内に新たに追加建物を建設する場合は、資機材の搬入用や作業用ルートの確保には
十分気をつける。
建設予定地以外の敷地内を重機類や大型車が通行すると様々なことが発生する。構内の通路や建物
の軒先を傷めたり電話や電力の架空線と接触したりすることがある。現場を十分設計前に確認の上、
必要事項を設計に盛り込む。
そのほか公園のような整備されている広い園内に作業用の重機を搬入する場合は、その通路上ある
植栽や、庭石、敷石などについて仮移設や養生方法も含め復旧に到るまでの図面も作成し経費も計上
しておく。 |
 |
25 |
公園内も大型トラックを通せ(重要) |
 |
 |
森の奥深くに美術館、また公園内に博物館など閑静なたたづまいのなかに各種の展示施設が建設
される。これらは何れも年に何回かは特別展のために展示物の入れ替えがあり、一般道からの構内
進入路も必要である。搬入車が次第に大型化しているため敷地内の搬入路の基準もそれに見合う仕様
にしておく。建物側では搬入車の横付けや建物内への乗り込み、荷下ろしなどの対応もしておく。 |
 |
26 |
地盤高さ、一階床高さの決定(重要) |
 |
 |
建築計画の重要な決定要素に地盤高さと一階の床高さの決定がある。
計画位置の周囲の建物や道路のこと、最近の大雨や高潮のときのこと、過去の災害時の最高
水位の記録なども調べる。
また地盤高と一階床高の関係も段を付けるのか、付けずに勾配で対応するのかは、建物の
イメージとか使い勝手のなかで決めていく。これらは何れも設備との関連も深い。 |
 |
27 |
将来の部屋の用途変更も想定しておく |
 |
 |
事務所ビルの場合、当初の計画段階でOA導入室の範囲を決定するが、「将来どの部分まで
OA導入可能とするか」は設計段階で想定しておく。例えば竣工時点で会議室、倉庫、ロッカー
室、休憩室であっても、必要性が生じたときは軽微な改修でOA室に変更可能なようにしておく
などは当初から考えておかないと難しい。このことは電気的にも空調的にもフォローが必要に
なる。 |
 |
28 |
倉庫も一室は空調をする |
 |
 |
当初の計画では、倉庫は換気設備だけで十分な物しか収納しない方針であっても、使い始めて
しばらくすると変質を極力抑えたい永久書類であるとか、温湿度にも敏感な植物や何かの生成物
などを保管するようになることもある。
地下全体とか棟の半分を倉庫用途で計画する場合は、一室は空調設備の設置を考えてみる。 |
 |
29 |
製作期間を確認する |
 |
 |
普通は使う機会が少ない材料や特に大きい物、その他特殊なものであってメーカーの製作期間
が長いもの。それらの物が工事のなかに含まれている場合は、請負業者は材料の入手期間やメーカ
ーの製作期間など、現場への到着可能時期を十分見極めて発注先を選び工程表を作る。 |
 |
30 |
イベント用設備の用意 |
 |
 |
屋内、屋外を問わずいろいろな場所で特別の催しが開かれることがある。そのときは音、光、
電源、水、排水などが必要となることが多い。これらをイベント用として当初から施設側で用意
しておくという設計と、必要なときに持ち込むという設計の進め方がある。
収容人員が大きいホールや広場などを設計するときは各種のイベントを想定して進める。 |
 |
31 |
イベント会場の出入り口は夜も明るく |
 |
 |
イベント用の資機材を会場内へ搬入するためのトラック用出入り口の大きさは、想定車種
の寸法より幅、高さとも大きくとる。これは主催者が設計時の想定車種以上の大型車で搬入
することを希望するケースがあるから。また出入り口付近は夜間作業にも対応できる明るさ
を確保することがイベント会場の性格上必要である。 |
 |
32 |
化粧マンホールの石貼り施工者 |
 |
 |
構内の舗装面を、インターロッキングや石貼りで仕上げをする場合、そこに設置する
化粧マンホール表面の石貼りなどは、誰が施工するのかを発注図上に明記し、施工責任者
の不明確を避ける。 |
 |
33 |
点検用キャッツウォークは効果的に |
 |
 |
高所照明器具の保守点検のために、昇降式の器具を選ぶ場合とキャッツウォークを用意する
場合がある。後者を計画する場合は空調用ダンパーや排煙窓の保守など、多目的に使えるものを作る。 |
 |
34 |
ボーリング調査のときに水質調査もする(重要) |
 |
 |
地盤調査のためにボーリングを実施する場合は、含有する水についても水質調査を実施する。
当該区域の地下水が自然放流に適さない成分を含んでいる場合もあり、その成分を知っておく
ことは重要である。
水質検査を済ませておくと後日の掘削工事時の湧出水の放流について、放流先の環境も考慮の
うえ事前に処置を検討しておくことが出来る。 |
 |
35 |
各工事の図面の方位は合わす |
 |
 |
建物設計に関する図面は、敷地構内全体図から建物各階の平面図、詳細図、各種設備図まで
範囲も広く縮尺もいろいろある。これらの図面類の中で統一しておくことはいくつもあるが、
図面の方位も各図とも合わせておくことが重要である。図面を画く人の思いつきや、図面上の
余白の具合で勝手に方位を選ぶと各人の間で把握イメージの違いや思い違い、打ち合わせの時
の行き違いなどを招きやすい。方位は意識して統一する。 |
 |
36 |
自販機もATSも設置か |
 |
 |
各種の施設を建設する場合、もろもろの自販機の設置や他所との情報
のやり取りや、ディスプレーをどうするかなど考え方を整理して当初から設計に盛り込む。
もしこれらを竣工間際や竣工後に設置することになると大きな手戻り仕事になる。
特に現金自動預け払い機(ATM)を急遽設置することになると大変である。ATMの設置は必要スペ
ースも広く、電源や電話、クーラー排水など何れも後からの施工では難しい事柄を内在している。
設置の要否は十分事前に検討を済ませておく必要がある。 |
 |
37 |
ビルの運転や清掃費の積算も建物の設計委託・・・ |
 |
 |
ビルの運転や清掃に要する費用が分からないと年間の維持管理計画が立たない。最近は建築
保全に関する積算書も発刊されており、同書の中に機器の運転や日常点検、またビルの日常清掃
や定期清掃に関する積算方法も記述されている。これらを積算することは建物の設計が終了して
いると可能である。
それらを建物の設計委託の成果品として提出することを設計委託契約の中に盛り込むことを奨
めたい。それらが設計と共に提出されると施主にとっては維持管理計画を進める上で大変参考に
なる。従来から提出されている概算額でなくメンテ会社に発注する際の積算書として使用可能な
程度のものが望ましい。
そのほか機器類の定期メンテ費については、施主側は施工期間中に関係者の協力を得て情報を
まとめる必要がある。またメンテ費も新設機器価格の見積もりと合わせて徴収することもある。 |
 |
38 |
建築物の耐用年数は短くなる (課題) |
 |
 |
一般的に建築物の強度的な耐用年数はその構造から概ね決まり、それによって法定耐用年数も
定められているようである。しかし現実の耐用年数は「建築用途の目的を果たせているか」また
「いつまで果たせそうか」で決まって来る。いわば建物に対する社会のニーズの変化に追随でき
なくなればその建物はもはや耐用年数を終えつつあると考えるべきかもしれない。
今や建物は対地震強度をクリアーしながらフレキシビリティーを求めらているようである。つ
まり建物機能を大幅に見直すような改修が容易に出来る建物。或いは「容易に建て替えることが
可能である」ことさえもその建物の付加価値であると言える余地が伺える。時代と共に耐用年数の考え方も
設計の方向も変わってくることが想定される。 |